自動車のパンフレットや公式サイトには、「諸元表」と呼ばれるスペック表が掲載されているのをご存じでしょうか?
諸元表は、車のサイズ・性能・維持費に関わる情報がまとめられており、車選びのミスマッチを防ぐための重要な資料です。
見方のポイントが分かれば、購入候補の車の諸元を横並びで比較することで「こっちの方が小回りが利きそう」「維持費はこっちが安そう」「今の車より加速が良さそう」といったイメージができるようになります。
この記事では、車や諸元表に詳しくない初心者の方でも理解できるように、重要なポイントだけに絞って解説します。
この記事を読めば、以下の疑問が解決します。
✋「車の諸元表で見るべき重要項目は?」
✋「車の諸元表の見方は?」
【初心者向け】ここだけ見ればOK!車の諸元表の見方(重要項目)
【重要】基準となる車の諸元表を用意する
諸元表を見るときの一番のポイントは、必ず「基準となる車」を決めて比較することです。
基準となる車は、“今乗っている車”もしくは“過去に乗ったことがある車”がおすすめです。
基準の車と購入を検討している車の諸元を並べて見ることで、「今の車と比べてどう変わるのか?」がイメージしやすくなります。
単体の数字を見るよりも、実際に乗ったことのある車を基準にした方が、感覚的に理解しやすくなります。
諸元表の調べ方
諸元表は、Googleで「車種名 型式 諸元」で検索すれば、簡単に見つかります。

※型式を覚えていない人は、下記リンクを参考に車検証を確認しましょう。
出典:チューリッヒ保険会社>カーライフお役立ち情報>車検>車検証の「型式」と「型式指定番号」とは
実例で見てみよう(今回の比較条件)
今回は、下表の3台を例にして諸元表の見方を解説します。
「ここだけは最低限チェックしたい項目」を、実際に比較しながら見ていきましょう。
【今回の比較条件とする車】
| 基準(今乗っている車) | 候補① | 候補② | |
|---|---|---|---|
| メーカー | ダイハツ | 日産 | ホンダ |
| 車種 | ミラ イース | ルークス | N-BOX |
| 型式 | 5BA-LA350S | 5BA-BB1A | 6BA-JF5 |
| 駆動方式 | 2WD | 2WD | 2WD |
車両サイズ |サイズ感を確認する
全長×全幅×全高を確認することで車両のサイズ感が分かります。
まずは今乗っている車を基準とし、比較することでサイズ感をイメージしましょう。
- 全長 Length:前方から後方までの長さ
- 全幅 Width:車体の幅 (サイドミラーを除く)
- 全高 Height:地面から屋根までの高さ (アンテナを除く)
車両サイズ一覧
| 基準(今乗っている車) ミラ イース | 候補① ルークス | 候補② N-BOX | |
|---|---|---|---|
| 全長 L | 3395mm | 3395mm | 3395mm |
| 全幅 W | 1475mm | 1475mm | 1475mm |
| 全高 H | 1500mm | 1785mm | 1790mm |

横並びで見ると分かること
- 全長と全幅はどの車も同じ
👉今乗っている車と比べて、駐車や狭い道での取り回しはあまり変わらなさそう。 - 全高が大きく違う
👉ルークスやN-BOXは今よりも頭上空間が広そう。 - ルークスとN-BOXの全高差は5mm
👉数字上ではN-BOXの方が全高が高いが、体感はほぼ変わらないだろう。
そのため、デザインや内装の好みで選んでも良さそう。
最小回転半径|小回り性能を確認する
最小回転半径とは、ハンドルを最大まで切ったときに、車がどれくらい小さく回れるかを表す数値です。
ハンドルを最大に切った状態で、一番外側のタイヤが描く円の半径を指します。この数値が小さいほど、Uターン、駐車場での切り返しがしやすくなります。

最小回転半径比較
| 基準(今乗っている車) ミラ イース | 候補① ルークス | 候補② N-BOX | |
|---|---|---|---|
| 最小回転半径 | 4.4m | 4.5m | 4.5m |
横並びで見ると分かること
- 今乗っている車からルークスもN-BOXも小回り悪くなるが、その差は0.1m
👉実際に運転していて、気になることはほとんどなさそう。 - ルークスもN-BOXも最小回転半径は同じ
👉小回り性能は変わらなさそう。
最低地上高|段差や縁石で下回りをこすりにくさを確認する
地面から車の最も低いところの距離です。
最低地上高が高いと、縁石を乗り越える時や悪路走行時に下まわりを擦りにくくなります。

最低地上高比較
| 基準(今乗っている車) ミラ イース | 候補① ルークス | 候補② N-BOX | |
|---|---|---|---|
| 最低地上高 | 155mm | 150mm | 145mm |
横並びで見ると分かること
- 今乗っている車と比較して、N-BOXは10mm低い
👉差は10mmなので、実際に乗っていて大きな違いを感じることは少なそう。
タイヤサイズ|タイヤ交換時に備えてタイヤ価格が今より高くなるのか確認する
タイヤサイズは、『155/65/ R14』のように英数字が混同して記載されています。
この中で まず注目したいのが「R14」 です。これはホイールの直径(インチ)を表しています。

一般的にこの数字が大きくなるほど、タイヤ価格は高くなる傾向 があります。
そのため、タイヤ交換費用をできるだけ抑えたい人は「R」の数字をチェック しておくのがおすすめです。
✋「155/65」は何を意味している?
ここはやや専門的であるため、参考程度でくらいの認識でOKです。
- 155:タイヤの幅
- 65:扁平率
タイヤの幅に対する高さの比率
詳しく知りたい方は、下記記事の第1章を参考にしてみてください。
【BRZ タイヤ】DUNLOP DIREZZA DZ102を2年使った正直レビュー
タイヤサイズ比較
| 基準(今乗っている車) ミラ イース | 候補① ルークス | 候補② N-BOX | |
|---|---|---|---|
| タイヤサイズ | 155/65 R14 | 155/65 R14 | 155/65 R14 |
横並びで見ると分かること
- ルークス・N-BOXどちらに乗り換えても、タイヤサイズは同じ
👉タイヤ交換費用は今乗っている車とほぼ変わらないだろう。
燃費:WLTCモード燃費を確認する
燃費とは、燃料1リットルでどれくらいの距離を走れるか を表した数値です。
この数字が大きいほど、少ないガソリンで遠くまで走ることができます。そのため、一般的には燃費が良い車ほどガソリン代を抑えやすい傾向があります。
また、燃費は“WLTCモード燃費”と“JC08モード燃費”の2つ記載がありますが、“WLTCモード”の方が実際の走行に近い数値 とされています。
ただし、カタログ燃費はあくまで目安なので、実際の燃費は多少前後する認識は持っておきましょう。
違いについて興味のある人は、下記記事を参考にしてください。
出典:チューリッヒ保険会社>カーライフお役立ち情報>ガソリン・燃料>WLTCモードとは。JC08モードからの移行とカタログ燃費
WLTCモード燃費比較
| 基準(今乗っている車) ミラ イース | 候補① ルークス | 候補② N-BOX | |
|---|---|---|---|
| WLTCモード燃費 | 25.0 km/L | 21.0 km/L | 21.6 km/L |
横並びで見ると分かること
- ルークス・N-BOXともに今乗っているミラ イースより燃費は低い
👉月々のガソリン代は、今より少し高くなる可能性がある
余裕があれば確認したいこと
ここまでは最低限の運転のしやすさと維持費に関わる項目を中心に紹介してきました。
ここからは、少しテクニカルな項目を紹介します。
以下の項目を見ることで、加速が良さそうな車かをイメージすることができます。
パワーウエイトレシオ|中間加速の目安になる
パワーウエイトレシオは加速性能の目安となる数値です。
計算方法は『車両重量÷最大エンジン出力』で求まります。
この数値が小さいほど軽くてパワーのある車で加速しやすい傾向があります。
例えば、同じ走力の人でも重い荷物を背負うと加速しづらくなりますよね。車も同様で、軽い車 × パワーがあるエンジンほど加速が良くなります。

ただし、実際は(ギア比、タイヤ性能、エンジン特性、変速制御)など多くの要素が関係するため、パワーウエイトレシオだけで性能を判断することはできません。
あくまで参考指標として見るのがおすすめです。
パワーウエイトレシオ比較
| 基準(今乗っている車) ミラ イース | 候補① ルークス | 候補② N-BOX | |
|---|---|---|---|
| 車両重量[kg] | 670 | 960 | 910 |
| 最高出力[ps] | 49 | 52 | 58 |
| パワーウエイトレシオ[kg/ps] | 約13.7 | 約18.5 | 約15.7 |
横並びで見ると分かること
- ルークス・N-BOXともにミラ イースよりパワーウエイトレシオが大きい
👉中間加速は今乗っている車より控えめになる傾向がありそう
トルクウエイトレシオ|発進加速の目安になる
トルクウエイトレシオも加速性能の目安となる数値です。
計算方法は『車両重量÷最大トルク』で求まります。
この数値が小さいほど、車重に対して余裕のあるトルクを持っていることになり、発進や低速域で力強く動きやすい傾向があります。(基本的な考え方はパワーウエイトレシオと似ています)
では、トルクとパワーでは加速の特性がどのように変わるのか?自転車の例で考えてみましょう。
A:脚力が強く、ペダルを力強く踏める選手
(トルクウエイトレシオが小さい)
B:持久力があり、高回転で漕ぎ続けられる選手
(パワーウエイトレシオが小さい)
スタート直後は、強く踏み込めるAが先行しやすいです。
しかし、レース後半になると、高回転を維持できるBがラストスパートで伸びてきます。

簡単にまとめると
- トルクウエイトレシオが小さい=発進加速に優れている
- パワーウエイトレシオが小さい=高速域で伸びる
ただし、実際は(ギア比、タイヤ性能、エンジン特性、変速制御)など多くの要素が関係するため、トルクウエイトレシオだけで性能を判断することはできません。
あくまで参考指標として見るようにしましょう。
また、トルクとパワーの違いは、YouTubeにテクニカルで分かりやすい解説も多いので興味があれば参考にしてみてください。
トルクウエイトレシオ比較
| 基準(今乗っている車) ミラ イース | 候補① ルークス | 候補② N-BOX | |
|---|---|---|---|
| 車両重量[kg] | 670 | 960 | 910 |
| 最高トルク[Nm] | 57 | 60 | 65 |
| トルクウエイトレシオ [kg/Nm] | 約11.8 | 16 | 14 |
横並びで見ると分かること
- ルークス・N-BOXともにミラ イースよりトルクウエイトレシオが大きい
👉発進時の力強さは今乗っている車よりやや穏やかになる傾向がある
変速比と減速比|発進加速寄りか最高速寄りかの傾向が分かる
変速比と減速比を見ることで、その車が「発進加速寄り」なのか「最高速寄り」なのかの傾向が分かります。
自動車では、エンジンで発生した回転とトルクが“変速機 → ディファレンシャルギア → タイヤ”
という流れで伝達されます。(下図左)
そして、変速機とディファレンシャルギアでは歯車を使い、回転数とトルクを用途に合わせて調整しています。実際に各軸で回転とトルクがどのように変化するのか、簡単な数字で計算してみます。
例えば、エンジンの回転が1400rpm、トルク100Nmを発生しており、変速比 2・減速比 5だった場合、タイヤ端では140rpmに下がり、トルクは1000Nmまで増幅されます。(下図右)

変速比とは、エンジンの回転数を、変速機でどれだけ変えるかを示す数値です。
- 数値が大きい → 回転数が大きく減り、トルクが増える(発進加速向き)
- 数値が小さい → 回転数の減速量が少なく、速度が伸びやすい(高速向き)
減速比(ファイナルギア比)とは、変速機から出てきた回転をディファレンシャルギアでどれだけ減速するかを示す数値です。
- 数値が大きい → タイヤに伝わるトルクが増える(発進加速向き)
- 数値が小さい → タイヤの回転が上がりやすい(高速向き)
ただし、実際は(ギア比、タイヤ性能、エンジン特性、変速制御)など多くの要素が関係するため、あくまで傾向として見るようにしましょう。
変速比・減速比 比較
| 基準(今乗っている車) ミラ イース | 候補① ルークス | 候補② N-BOX | |
|---|---|---|---|
| 変速比 (ローギア~ハイギア) | 3.327~0.628 | 2.411~0.404 | 3.680~0.674 |
| 減速比 | 4.272 | 7.319 | 4.318 |
| 総合減速比 (変速比×減速比) | 14.213~2.683 | 17.646~2.957 | 15.890~2.910 |
- ルークスが総合減速比が大きい
👉3台のなかで発進加速寄りのギア設定になっている
まとめ|「基準となる車」を決めて数字を比較しよう
最低限確認しておきたい諸元の項目と余裕があれば確認しておきたい項目を解説してきました。
諸元表を見るときの一番のポイントは、“今乗っている車”もしくは”過去に乗ったことがある車”の諸元と購入を検討している車の諸元を並べて見ることです。
単体の数字を見るよりも、実際に乗ったことのある車を基準にした方が、感覚的に理解しやすくなります。
購入検討時に最低限確認しておきたい項目(5点)
- 車両サイズ → サイズ感を確認する
- 最小回転半径 → 小回り性能を確認する
- 最低地上高 → 段差や縁石で下回りをこすりにくさを確認する
- タイヤサイズ → タイヤ交換時の価格が今より高くなるか確認する
- 燃費 → WLTCモード燃費を確認する
余裕があれば確認しておきたい項目(3点)
- パワーウエイトレシオ → 中間加速の目安が分かる
- トルクウエイトレシオ → 発進加速の目安が分かる
- 変速比と減速比 → 発進寄りか最高速寄りかの特性傾向が分かる
諸元表は愛車を選ぶ際のミスマッチを防ぐ材料になります。本記事が皆様の愛車選びの参考になれば幸いです。

コメント